合気道でよく使われる言葉、気結びの考え方について

 

相手と一体化することで切れない技

合気道で言う気結びとは、取りと受けが一体となって動くことにあります。一体となって動くということは、「ぶつからない」と言うことです。ぶつからないためには、取りであれば「受けの動きに合わせること」が重要になってきます。例えば受けを崩すために大きく動いた場合、受けの動ける範囲を超えたところまで動いてしまえば、受けの動きの限界点に達してしまい、引っかかりが生まれるでしょう。四方投げなどの、手を振りかぶる際に、取りのほうが受けよりも身長が高い場合、振りかぶりすぎると握っている受けの手が外れることがあります。まさしくこういう状態が、受けの動きに合わせられていない状態の一つです。
また受けの場合も、特に関節技や投げ技の時に、取りが関節を極めてもいないのに、手をたたいたり、受け身を取ってしまったりする場合がよくあることと思います。このような状態も、受けが取りに合わせていない状態の一つと言えるでしょう。

 

繋がりを大切にする

このように取りの場合でも、受けの場合でも、お互いに「合わせる」ことが重要となってきます。相手の動きに合わせるためには、お互いに気持ちを相手に向ける必要があります。このようにお互いに気持ちを合わせることで、お互いに繋がっている状態といえることと思います。このようにお互いに気持ちの繋がった状態を「気結び」と言い、このとき相手に向ける自分の気持ちを、「気」であると考えておけば、「気結び」を理解していく上の導入段階では十分です。
さらに相手と直接に触れあう接点があると思います。四方投げで言えば、握られた取りの腕と、握った受けの腕のことですね。この接触点も切れないように、お互いに意識していく必要があるのです。
このように内面的な繋がりと、実際に触れあう繋がりを合わせて、初めて気結びとなっていきます。

 

礼は結びのスイッチ

礼は、人と人を繋げます。(礼儀作法についてはこちらを参照してください。)また自分の内面にある感情と、外部の世界を繋げることもできます。例えば、皆さんは道場に入るとき、必ず正座して正面に一礼し、上席者に一礼後に入場することと思います。皆さん「よし、今日は受け身を頑張るぞ!」「今日こそは、入り身投げを相手とぶつからずに稽古するぞ!」など、胸に秘めた思いを持って稽古にくることと思います。このように胸に秘めた感情を、道場への入場の前に行う礼や、実際に稽古をするときに行う相手との礼によって、自分の内面的な感情と、行動とを一致させるスイッチとなっているはずです。
このように「礼」と言うのは、実は人と人や、自分の内面的なものと行動をつなげるスイッチとなっています。つまり気結びを行っていくためには、深いところを話しますと、「礼」というものにまでこだわっていく必要があるのです。

 

魂を奮い立たせる

「むすび」は、「むすひ」という言葉からきています。
「むす」とは、生じるということ、平たく言えば「自然に発生する」と言うこと。
「ひ」とは、神霊、平たく言えば「命」と言うこと。
と言うように、二つの意味を持つ言葉から構成されています。「むすび」とは、「自然に発生する命」のことを言うのです。つまり「生命力」であったり、「魂を奮い立たせる働き」のことです。

 

 

合気道の稽古を進めていく上で、「気結び」と言うのは絶対に理解しておかなければならない重要なテーマの一つです。それというのも、合気道開祖が、「合気道は自己完成の道である」と教えられていたといいます。自己完成とは、簡単に言えば「自分の人生を充実させる」ことと言えると思います。
自分の人生を充実させていくことは、非常に困難なことです。例えば思うように勉強や仕事が進まず、ストレスを感じてしまうことでしょう。多忙化した現代では、何をするにもストレスと背中合わせであるといっても過言ではないと思います。そのようなストレスと、いかにして「気結び」できるかで、合気道の稽古の真価が問われるものと思います。

 

つまり「気結び」と言うのは、夢や目標に向かう、またより良い人生を過ごすために必要な力を生み出す「スイッチ」なのです。
しっかり稽古で「気結び」という「スイッチ」の感覚を養ってください。